2011年3月15日火曜日

bise(ビズ)について


帰国してから3週間が経ち、久しぶりの友人と再会する機会もポツリポツリとあるのですが、懐かしい顔を見ると、抱きついたりビズをしたりしたい衝動にかられる私は、かなりフランスかぶれ、南ヨーロッパかぶれしていると、言えるのでしょうね。衝動にかられるだけで、実際にはしないんだけど。

bise [bi:z] ビーズ
(頬にする)キス
ープチ・ロワイヤル仏和辞典ー

これまで、ブラジル、スペイン、ポルトガル・・・ラテンの国を旅行したとき、このビズをする機会がごくたまにあったのですが、なんだかよくわからずアワアワしながらそれをやっていました。そのときはお互いがタコの口のようになるのだとばかり思っていたのだけど、どうやらそうではなく、ほっぺたとほっぺたをくっつけてチュ、という音をだすのが、ビズなんですね。フランスの方は、この「チュ」の音がとても大きい。このほっぺたくっつけヴァージョン以外にも、男性が女性のほっぺたにチュ、としてくれるビズもあって、スペイン人や南仏出身らしき男性のビズはこのタイプでした。

トゥールでは左右2回ずつ計4回、パリでは3回するんだよ、教えてくれた人がいましたが、数の決まりは特にないように見えました。たいてい、右の頬から左の頬へ、という順番なのですが、ときどき左からなさろうとする方がいて、そうすると、口と口がぶつかりそうになりおっとっとっと、ということになります。

友人同士に限らず、買い物をしたときやホテルのフロントなどでも、互いの心が通じ合ったとき、別れ際に握手をしたり、ビズをしたりすることがありました。触れることで、互いに1段近づくようなかんじがします。ビズの習慣、最初慣れないうちは戸惑うばかりで苦手でしたが、だんだんと好きになりました。

フランス人の明るさの秘密は、握手やビズなどのスキンシップにあるのではないかな、と思います。例えば、落ち込んでいるとき、または、あいつ超むかつく~とか思っている相手とでも、習慣的惰性的にほっぺたをくっつけて相手の体温を感じ、匂いを感じることで、ま、いっか、という気分になるのではないかと。人に触れる、ってそういう効果があるんじゃないかな、と。

とはいえ、ビズがあまり好きではないフランス人もいるようで、なぜかといえば、毎日のように会う相手ともいちいちするのが「めんどくさいから」なのだそうで、その気持ちもわかる気がします。

写真は、2月6日のロワール川。左手の陸地は中州です。沈む直前の太陽に照らされる吊り橋。はるか昔に両親が購読していた「暮らしの手帳」の中の、グリム童話だったか何だかのお話の、挿絵の影絵みたいだなあと思いました。

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